恋と魔術のはじめ方

ここに奇妙な師弟関係が出来たのも束の間…、

ライラックが握手していた手を引っ込め、突如クスクスと笑い始めた。

『なに!?…まさか、やっぱり弟子にはしないとかって言うつもりじゃないでしょうね?』

やや強ばった顔のファリナに対し、ライラックは右手を口元の辺りにあてニヤニヤし始める。

『それはないよ。約束したしね…ただ、お姉さんみたいな…魔術が全然使えない人が、なんで魔術士になりたいのかなって思ってね…』

その言葉にファリナは過敏に反応した。

『だって、仕方ないでしょ!私が倒したいやつが魔術士なんだから…そいつを倒すためなら、何だってしてみせるから』

真剣な眼差しのファリナは、左手を細い腰にあててそう話した。

すると、ライラックがひとつの提案を出した。

『だったら、代わりにボクがそいつを倒してあげるよ』

『え?!ほんとに…?!』

ファリナは一瞬、期待と嬉しさを含んだ気持ちになったが、この意地悪な魔術士がなんの利用もなく手伝ってくれるはずがないと思った。

『何か、また条件があるんでしょ?!』

小さなため息をつきながらファリナは言った。