恋と魔術のはじめ方

『…』

しばらく、ライラックは目の前のファリナを呆然と見ていた。

というより、その揺るがない力の入った瞳にいろんな思いが頭によぎったのだ。

-今までこんなやつはいなかったのに-

-答えになんかなってないのに、この根拠のない自信は一体どこから出てくるんだ?!-

考えれば考えるほど訳が分からなかった。いつものようになるはずだったのが、全く違うストーリーになってしまったからだ。

そんな思いをよそに、ファリナは右手で握手を求めた。

『さぁ、わたしを弟子にするの?!しないのなら、また別の魔術士を探すだけだし…』

と気迫の籠もった二択をライラックに迫る少女-ファリナ。

……。

その二択に小さな魔術士の答えは決まっていた。

『…いいよ。こちらこそ、よろしく。』

ライラックも顔はそっぽを向きながらも、小さな右手を差し伸ばし、ファリナと握手を交わした。

『わたしはファリナ・セア。ファリナでいいわ』

『…ライラック』

ファリナは先に自己紹介し、その後にライラックもぶっきらぼうに答えた。