恋と魔術のはじめ方

凛とした顔で、ファリナはライラックに左手の人差し指を指さす。

『ふ〜ん。それじゃ、弟子になるのは諦めるんだね…』

自信満々のファリナに対し、負け時と満面の笑顔で返すライラック。

だが、ファリナは自信に満ちた顔を変えようとせず、

『誰もそんなこと言ってないじゃない!…それにわたしは諦めてないわ!』

ファリナは指さした右手の人差し指をゆっくりと手元に戻し…

自分の顔のすんと伸びた鼻へと向ける。

周りの観衆もその行為の意味が分からなかった。

その仕草に、小さな魔術士ライラックも、

『…?!…それは一体、何の真似?』

と疑問に満ちた瞳をファリナに向ける。
するとファリナは一呼吸置き、背筋を伸ばし意を決した。

『今あなたを驚かせることはできないけど、必ずあなたよりもすごい魔術士になって驚かせてみせるから!!』

そう言い放つと、ファリナは両腕を胸の辺りで組み、ライラックの瞳を見た。

何がなんでもなってみせると決意したようだ。