恋と魔術のはじめ方

そんな冷静なファリナの態度が少々気に食わないのか、せかかすような口ぶりで、

『…それで、ちゃんと持ってきたの?ボクを驚かすものを…。…でも、今までに何人も弟子にしてほしいって来たけど、ダメだったんだよね…』

と淡々とした口調で、ライラックは言葉を続ける。

『だれもボクを驚かすことはできなかったし…たまに絶滅した赤龍の鱗とか、希生種の白鴎鳥の卵とか珍しいものを持ってきたりするんだけど、…べつに見たことあるしね…』

『……』

自慢げにライラックは話すが、ファリナは黙ってそれを聞いていた。

いつの間にか彼女の顔の汗も引いて、消えていた。

ライラックの話が途切れたとき、そっと右手で握りしめた拳を彼の元に差し出す。

『へぇ〜、それがお姉さんが選んできた物なんだ…?!』

ライラックは視線をファリナの右手へと送った。

すると今まで沈黙していたファリナが口を開き、

『そう!これが、わたしが選んだ答え…』

ファリナは徐々に指を開いていく。そして、握っていたものが姿を現す。