恋と魔術のはじめ方

ファリナは人々の間をかいくぐりながら、前へと進んでいく。途中うざったらしい顔をされたりもしたが、今のファリナには関係なかった。
……。

ようやく最前列にたどり着く。

噴水前の周囲を人で囲まれている空間は意外に広く感じられる。

そこでファリナは驚いた。いや、驚かずにはいられなかった。

目の前の周囲に人で囲まれた空間で、確かにスキルギルドで聞いたとおり、ひとりの魔術士がひとりの賞金首の盗賊を捕まえる光景があったのだ。

すぐ手前で尻餅をつき、奥の噴水を見ながら唖然といった顔で口を上げながら地面に座り込んでいる男がいた。丸坊主の痩せたキツネ顔で、いかにもといった悪人面だ。この辺りでは少しは名の知れた盗賊ダチュア。

だが、驚いたのはその男にではなく…
噴水の外を囲む石段に座っている魔術士に驚いたのだ。

状況から彼が噂の魔術士だとファリナ判断したが、何度見ても疑いたくなる光景だ。