マナがまず最初の女性パート部分を歌う。

音程もリズム感も申し分ないほどの上手さであった。

スポーツもゲームもカラオケもなんでも上手にこなすなと感心してしまう。

が、すぐに男性パートになるため感心している場合ではない。

マイクを握りしめ意を決して歌う。

が、やはり自分でもわかるほどの音痴ぶりである。


ハモリの部分に突入し、マナに任せて歌うのをやめようかなと思いながらもとりあえず歌い続けることにした。

するとなぜか、すんなりと音を外さずに歌えている。

実際には先程と変わらないかもしれないが自分が上手くなったような気さえする。

マナの歌声につられるように、引っ張られるように声がでる。

悠斗は生まれて初めてカラオケが楽しいと感じた。


歌い終わりマナと目が合う。

「全然歌えるじゃん！」

マナがニコリと笑う。

「いや、なんていうか…デュエットって面白いね」

「完全にマナちゃんに助けられてるが、ハモりの部分はそこそこよかったぞ」

「うんうん！」

健二も亜美も同意した。

「なんでもやってみないとわからないでしょ？」

「うん…ほんとだ…」

悠斗にはマナがとても眩しい存在に感じた。