目の前に投げられた大きな紺色のベスト。
「それ、着て…。」
ゆうちゃんはこっちを見ないようにそれだけ言った。
えっ…?
「でも、これ…ゆうちゃんが着てたんじゃ…?」
見ると、ゆうちゃんはワイシャツだけになっている。
「俺は別に着なくても大丈夫だから。それに…なつめをそんな格好で学校に行かせられないよ…。」
「……!」
「じゃあ、俺…先に外出てるから。なつめはそれ着たら来て。」
「…うん。ありがとう、ゆうちゃん…。」
ゆうちゃんは答える代わりに手をヒラヒラと振ると、鞄を持ってリビングを出ていった。

