「先生、正気っすか?オレは海斗ですよ。」


「いやな、今警察署に問い合わせたんだが、西村海斗は取り調べ室にいるそうだ。もちろん、先生も耳を疑ったさ。海斗はここにもいるんだもんな。」


海斗は狐につままれたような気分だった。警察署にもオレがいる?
さらに稲岡先生は続けた。


「海斗、お前が学校にいることはあえて警察には言わなかった。」


海斗はその言葉を聞いて安心した。もしオレが二人いるとなれば混乱するに決まってる。


「オレはお前を信じる。警察署にいるのは偽者だ。なんでかは知らんがお前の名前を悪用したんだろう。」


海斗も内心そうであって欲しかった。
明日には犯人の嘘もバレて疑いも晴れるだろう。


「先生の言う通りだと思います。」


「おっ、先生の言うことを受け入れるなんて海斗にしちゃ珍しいな。まさか偽者じゃないだろうな?」


「マジで冗談よしてくださいよ。」


稲岡先生は笑いながら海斗の頭を撫でると、説教部屋をあとにした。


「さてと、えらい目にあったわね。先生も実は西村君が警察に捕まるようなことはしない子だってことは‥まぁいいわ。教室に戻るわよ」

高岡先生はいつものやさしい口調に戻っていた。