「率直に言うわ。あなたは以前悪魔に取り憑かれてたの。そして、私のおばあちゃんが悪魔払いをした。」


海斗は言葉を失った。


「つまり、その期間‥あなたの記憶はないの。
それを知ってるのは、おばあちゃんと私とあなたの母、そして清水君。
私がこの学校に赴任することは偶然だった。
そして、おばあちゃんがあなたを見つけたのも偶然だったのよ。」


しかし、海斗には疑問が残った。


「先生、清水君にも空白の一ヶ月があったんです。」


「いえ、彼は覚えてるわ。あなたに言わないだけでね。記憶がないのはあなただけよ。」


「じゃあ、清水君の父親の件は?そういえば、おじさんもオレの記憶に空白があるって言ってた。」


「清水君のお父さんは前々から、私のおばあちゃんに相談を持ちかけていたわ。だから、おばあちゃんから聞いたのよ。」


「だから踏みとどまったのか‥。」


「これでスッキリしたでしょ?さてと、その倒れてる子をベッドに運ぶわよ。」


スッキリしたのはあんただけだよと、心の中でツッコミを入れる海斗であった。


「それにしても、清水君いつまで寝てるのかしら。」


時計はもう午後5時をまわっている。
何を思ったのか、海斗はトミーのほっぺたを思いっきりつねった。


「イタタタタタタタ!!!!」


トミーの叫び声が保健室に響き渡る。


「なんでわかったんだコノヤロー!」


「何年の付き合いだと思ってんだバカヤロー!」


そして、二人は笑い合った。保健室に今度は笑い声が響き渡る。


それから誰が倒れただの、問題だのと色々あったが、三上先生と高岡先生の半ば強引な説得と屁理屈で、なんとか事なきを得たのであった。