「私は知りませんんよ、さっきここに来たばかりですし。」


高岡先生は平然と嘘をついた。


「おかしいなぁ〜どうも思い出せない。
しかも頭が妙に痛いし。」


稲岡先生は頭をさすりながら不思議そうな表情だ。


「あっ、そういえば誰かが転んで頭打って、保健室に運ばれたとかいう情報が‥ねっ、西村君!」


「転んで頭打った‥あぁ!清水君のことですね、先生!」


高岡先生のナイスアイデアは、海斗の勘違いで無惨にも潰されてしまった。


「あぁ、清水君だったのか。そう言われればそうよね、そこでダウンしてるんですものね。
まぁ、そういうことですので稲岡先生の件は原因不明ですね。」


高岡先生はこみあげてくる怒りを必死におさえながらあくまでも冷静に喋った。
もちろん海斗に悪気はないが、高岡先生の怒りのオーラをヒシヒシと感じていたのであった。


「おっ、清水もダウンしてるじゃないか。またバカな事してたんだろ。
てことは、オレもバカやったのかもしれんな。ガハハハ。」


「きっとそうですよ。」


稲岡先生がバカでよかったとつくづく思う高岡先生であった。


「高岡先生交代よ、やっと心が鎮まったわ。」


三上先生が戻ってきたようだ。


「わかりました。じゃあ、稲岡先生行きましょうか。」


「えっ、もうですか?」


高岡先生の誘いに、稲岡先生は不満の表情だ。


「あなた何時間ここで寝てたと思ってるの?
校長にちくるわよ?」


三上先生が一喝すると、稲岡先生はすぐにベッドから飛び降りた。


「行きます!行きますからそれだけはお許しを。
おい、海斗!何笑ってるんだ!」


稲岡先生の態度の変わりように、海斗は一人壺にハマっていた。