「お前にそんな裏があったとは全然知らなかったよ。じゃあ去年親父さんが死んだってのは、ハゲの噂かなんかで聞いたのか?」


「馬鹿もここまでくると神の領域だな。風の噂だろ?親父は海外にいたからな。親父の同僚から電話があって発覚したんだ。
それが去年の5月、ちょうど今頃だな。
そういえばお前が荒れ出したのも‥あれ?」


トミーはなにやら頭を叩きながら、歩き回っている。


「おかしいなぁ‥。去年の5月から6月までの一ヶ月間がどうしても思い出せないんだ。」


その瞬間、海斗の脳味噌にまるで雷にでも打たれたかのように電撃が走った。


「それだ!一ヶ月の空白!あ〜もう、胸のモヤモヤが一気に晴れた気分だぜ!」


もちろんトミーには、海斗がなぜ喜んでいるのか全くわからず、手を取り喜びを分かち合おうとする海斗のはからいに苦笑いで対応していた。


「ん、待てよ。」


いきなり手を離されたトミーはバランスを崩して大転倒した。


「オレもその一ヶ月間が思い出せない。」


海斗が下を見ると、トミーはまたもや気を失っていた。


いっぽう、三上先生と高岡先生は倒れたまま意識を失っている稲岡先生を必死で運ぼうとするが見掛けによらず重い体にてこずっていた。


「くぅ〜メタボリックパワー恐るべし。」


三上先生が歯をくいしばる。


「体育の先生の風上にもおけないわ。」


高岡先生がようやく足を掴んで持ち上げた。


「くぅおらっ!!お前らそんなとこでつったってないで手伝わんかいっ!!」


高岡先生の怒号に周りの生徒が申し訳なさそうに集まってきた。
そんな高岡先生に三上先生が恐怖を覚えたことは言うまでもない。