「もう一人の息子?私に息子は海斗一人しかおらんぞ。」


「行ってみればわかりますから。さっ、私が教室まで案内しますから。
西村君、清水君を頼むわね。」


そう言って、三上先生はおじさんを連れて保健室を出ていった。


保健室に残された海斗は、空白の一ヶ月について考えていた。


「う〜ん、いつの一ヶ月なんだ?」


海斗は床に散らばった写真の断片を拾い集め、茶封筒に戻した。


「ん?これ、なんか書いてあるぞ。」


最初に受けとった時には気付かなかったが、茶封筒の裏に何か書いてある。


「なになに、この封筒開けるべからず。っておいおい、普通そんな大事なことは表にでかでかと書いとけよ!」


海斗はさらに何かあるとみて、茶封筒から写真の断片を出してつなぎ合わせた。すると再び、中年男性の顔が出来上がる。
それをテープで固定し裏返すと、隅に小さく名前が書いてあった。


「しみずとしゆき?えっ、清水って‥まさかこいつトミーの父親か?」


まさかの展開に驚く海斗だが、やはり海斗の父親でなかったことがわかりホッとするのであった。
海斗はトミーの父親を見たことがない。
トミーが言うには父親はどこぞの会社の社長で、だから忙しくてあまり帰ってこないとのことだった。


「トミーが写真を破ったのはそのせいか?でもトミーは親父を尊敬してたし、とにかく意識が戻ったら聞いてみるか。」


一方、三上先生とおじさんは教室の前まで来ていた。三上先生が高岡先生を呼び出す。


「あら、三上先生に稲岡先生。珍しい組み合わせですね。それで用件はなんですか?」


高岡先生は三上先生と稲岡先生の顔を見比べながら言った。


「例のアノ件についてよ。いるんでしょ?中に。」