カリカリカリ

カチカチ…

カリカリカリ








「……………」


「……………」








無言でひたすら手を動かし続ける俺。


加奈子ちゃんはぼんやりと座っている。


お陰さまで写し作業がはかどる俺だけど


指…ちょ~ダルい。



もうどれくらい加奈子ちゃんから、そして沈黙から逃げてるだろう。


いい加減、俺ださすぎる…



俺は意を新たにシャーペンを置くとひとつ大げさに背伸びをしてみた。


「あ―――…だる」


指をポキポキ鳴らすと

俺は加奈子ちゃんをようやく見た。


俺の斜め向かいでベッドを背もたれに座っている加奈子ちゃん。


加奈子ちゃんは膝を立て、そこに手をちょこんと乗せている。


「暇だったでしょ?ごめんね」


俺は軽く笑顔を見せた。

加奈子ちゃんは首をふる。


「なんかやることねぇかな?」


俺は腰を上げて加奈子ちゃんに背を向けるとTVボードの中からゲーム機を出した。


春馬の部屋は小学生の時から通ってる。


どこに何があるか知り尽くしている。