俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~

夏休みに入ると加奈子の引退試合が行われた。


この夏の俺のスケジュールは、強制参加の夏期講習で埋まっている。


だけど俺はその日だけは予備校を休んで加奈子の応援に行った。


3年間、常にレギュラーという訳ではなかった加奈子。


だけど最後の試合で


仲間と共に泣いていた加奈子の姿は俺の胸にも感動を与えた。



熱気と汗臭いの混じった暑苦しい体育館のコートの中で


光る加奈子の汗と涙。


何かをやり遂げたことのない俺には、そんな加奈子の姿がまぶしく見えた。


まぶしくて誇らしくて


だけど同時に後輩や仲間に囲まれた加奈子が羨ましくて


そこに入れない自分に少し寂しさを感じたりもした。


我ながら自分の嫉妬深さに笑えてくる。


俺はどんだけ加奈子を独占したら満足出来るんだろう。


俺は加奈子の笑顔を観客席から見届けると


加奈子と仲間の邪魔にならないようにこっそりとその場を後にした。