柱を背に


加奈子を抱きしめながら優しくキスをする。


「…ん……」


加奈子も俺の背中に手を回してくれた。


お互いをぎゅうっと抱きしめあいながらキスをする。


12月の駅の雑踏の影で


わずかな時間を惜しむように、俺たちはお互いの唇を求めあった。




加奈子


すっげ―好き…


好きすぎてヤバいよ



加奈子の唇に、匂いに


体の奥がジンとして止まらなくなる。



触れたいのに

キス以上が出来ない分


俺はむさぼるように、ただ夢中で加奈子の唇を求めた。









《まもなく2番ホームに―…》


電車の到着を知らせるアナウンスが流れ


俺たちはようやく唇を離した。


加奈子の唇はいつもより赤くなり、少し潤んだ瞳で俺を見ている。


「そんな顔されたら俺、マジで行けなくなるし」


俺の言葉に加奈子は恥ずかしそうに笑った。


そんな加奈子にもう一度だけ、軽くキスをして俺は体を離した。


「送れなくてゴメンな。気ぃつけて帰れよ」


「ん、ヒロキも頑張ってね」


「あぁ」


手をふる加奈子の笑顔を背に


俺はホームに向かって走り出した。