リビングに入ると慌ただしく身支度をしている親父。


そんな親父を横目にぼんやりと俺はトーストをかじる。


牛乳を飲み終えるとまたぼんやりと制服に着替えた。


俺は長袖の制服にグレーのセーターも着る。


セーターは校則違反だけど…


学校指定のベストはダサくて誰も着ない。


「行ってくるからな」


「…ん~」


バタバタと出勤する親父の背中を視界の隅で見送りながら


俺は歯ブラシを済ませ髪を整える。


顔も髪もキマり、家を出る頃にはようやく目も醒めて


俺は加奈子に朝のメールの返事を送りながら通学した。


どうせすぐ学校で会えから内容は適当。


だけどメールは日課みたいなもんだ。


以前はダルくて仕方なかった通学も今は楽しみな自分がいる。


加奈子の存在は俺の心に安定をもたらしていた。


純粋に、誰かに愛されているという自信が


こんなにも自分の自信に繋がるんだということを初めて知った。