14日の憂鬱

「……あー。ホント今日は疲れたっ」




背伸びをすると、永井が怪訝そうに私を見た。



言おうか言わないか迷っていたけれど、その表情がまたかっこよくって、言うことにした。





「永井がチョコ貰ったんじゃないかーとか、誰かに告白されたんじゃないかーっとか。そんなことばっかり考えてたら疲れたの!!




この疲労を癒せねぎらえ!



すると永井の方も、首を回す動作をしだした。





「あー、俺も疲れたっ。お前が誰かにチョコやったんじゃないかなーとか考え通しだったからっ」





はぁ…と体の奥から深いため息をついたのは、わざとだとすぐ分かった。






「永井のせいだからねっ!全てはあの時逃げたせいだよっ」




私もわざと、もう逃げたことについては怒ってもいないが、そのことについて言ってやる。







「………それ出されたら、俺。何も言えねぇわ」



言い負かされることが悔しい様子ではあったが、素直に悪かったと一言彼は謝った。




そのやりとりがすごく可笑しくなって、二人同時に吹き出してしまった。





雪が降っていても、なぜだか永井のそばは暖かいね。



風がいくら吹いても、私は永井のそばを離れないよ。



だから、もう。




勝手に解釈するのは止めてね。







子供のように笑っている彼の姿を見つめて、私は心の中でそうつぶやいた。