14日の憂鬱

「でも」




私がそう言うと、永井がこちらを顔だけ寄越してこちらを向いた。




「あの時キスしてくんなかったら私、好きになってなかったかもよ」



私が少し笑いながら言うと、永井も鼻で笑った。






「……いや。お前はその内に俺の事好きになってたね、絶対」



「どこから沸いてくるの、その自信」





眉根を寄せて私が答えると、彼は今度は声を出して笑う。







……でも、永井。その通りかもしれないね。




どのみち私は、永井に惹かれていたと思うよ。




憧れの気持ちが本気の好きになっていたと思う。





キスがなかったとしても、たまの会話の私たちだったとしても。






永井のそばにいるだけで。



同じ時間を過ごすだけできっと、好きになっていたよ。