小さなお弁当箱をキレイに平らげて、ふたを閉める。




すると加奈子が私の名前を不意に呼んだ。


「ねぇ…美奈」


「んー?何ぃ?」




私はジュースを飲み干そうと缶を傾けていると、加奈子の暗い表情が見えた。


「……どうしたの?」


缶を机に置いて、加奈子の様子をうかがった。




すると加奈子はぽつりぽつりと、胸の中に抱き続ける不安を口にしだした。



「…加奈さぁ、先輩に告るって決めたけど…、加奈よりも先に誰かが先輩にチョコ渡しちゃったらさぁ…」



そういう加奈子の目は今にも泣き出しそうだった。



私はただただ、加奈子の言葉を聞いていた。


「加奈子…」


聞くことしか出来なくて、加奈子が少しでも安心するように小さなその手を握った。