『でも、確かにあのときのお前、ダサいって言うより……汚ねぇって感じ?』


『ひ、ひっどーーいっ!』


からかうように永井が笑ったので、私は口を尖らせる。



そうして、永井が再び校庭を見つめだして、私は不意に彼のほうを見た。



遠く西の空の茜色を浴びている永井の顔は、とても精悍だった。



その格好良さに何故か私は照れてしまって、気恥ずかしさに視線を逸らしてしまった。


胸の中にザワザワ、ドキドキと変なものがとどろきだすのを、自分でも感じた。



それを紛らわすために、特段食べたいわけではなかったがカバンからちいさなお菓子の袋を取り出した。



開けようと一生懸命力をいれるが、何故か開かない。



その音に気づき、永井がスッと手を差し伸べてきた。





『…ほら。寄越せよ』



『…うん…』




少し掠れたその声に、再び胸のドキドキが始まった。