『……別にお礼言われることしてねぇよ』



永井がフッと軽く笑った。



一週間の停学が明けて次に学校に姿を現したとき、当時偶然にも隣の席だった私に「おっす…」と、教室の喧騒にかき消されそうなほど小さな声で挨拶をしてくれたとき、
私の胸の中の重たいものは一気に吹き飛んだ。





私は、横を通り過ぎようとしたときの




「待ってろ」と




「お前だけが分かってくれてればイイから」と




「おっす…」だけは







未だに忘れない。