母親の勘はことごとく外れ、補習が終わった頃には、土砂降りの雨になっていた。
こんなに雨が降っているのに、降水確率40%と予測していた天気予報士にも苛立ちを覚える。


今日の運勢は一位の筈だが、本当は最下位なのではないかと疑わざるを得ないほど、ツいていなかった。

授業では、小学生でも正解できる基礎的な問題を間違え、購買部では、自分の直前でパンが売り切れる。
そして、極めつけにこの雨だ。
占いを伝えたアナウンサーを嫌いになりそうである。結構好きであったのに。


走って帰るのは、鞄が濡れ、教科書にも雨が染みてしまうのが気に入らない。
他の生徒の傘を盗ってしまうのは、吉昭の良心が痛む。

母親と天気予報士を腹立たしく思いつつ、うんうん唸りながら、帰路につく方法を考えていた。

その時、



「傘ないの?」



と、少しハスキーな女子生徒の声が吉昭の背中に投げかけられた。