不器用な愛を。【短】


『どこ』?



"見れば分かるでしょ"


それは声には出せなかったけど。


わざわざ、すぐ横にある自分の家を通り過ぎてここにいるんだから。

聖斗は、この家が誰の住む場所かくらい知ってるでしょう?



「…………」


私が黙り込んでいると
珍しくよく喋る聖斗が口を開いた。


「なんで俺、ここにいると思う?」






……そんなの、

「私の機嫌直しでしょ?」




「…うん。そう」

「………」



"帰したくなかったから"

とかなんとか言ってくれたら、本当に機嫌直ったかもしれないのに。


相変わらず不器用だね。


やめてほしい。余計な涙はさっき
やっと上着の袖にしまい込んだんだから