「じゃああたしそろそろ帰るわ」




この楽しかった空間から出ようとソファーから立った。



が。




「ちょっ、待ちぃや!
何ハッピーエンド的な空気で帰ろうとしてんねん」




引き止められた腕と焦った声。



腕は憂依、声は灰。




「え、なんで?」


「ねね、もう忘れたのか?」


「え?
何を?」




なんだっけ?




「今、音寧々は危ないんだよ」


「え、マジ?」


「さっき見たよね?
チャットの内容」




内容―――




“紀憂 音寧々は死すべし”




「あぁ!!」


「あぁって…忘れとったん?」


「うん」




…ちょっと皆してアチャーって顔しないでよ。




「面倒なことは忘れる(たち)なんだよっ」


「面倒って…」