さて、叫んでから僅か5分後のことでございますが。
その間に憂依には鼻フックをお見舞して高羅にはほっぺにちゅうかまして灰はうるさいから蹴飛ばして。
スイは心なしか口元を緩ませている様な気がするけど気がするだけだ、多分。
だって目があったらメンチ切られたもの。
再びキッチンに向かい、さっきチラ見した炊飯器の元へ。
なぜチラ見して放置したかって?
物事には見なかった方が良いものが沢山あるんですよ。
本当は今も、これからもずーっとそうしたいんだけど。
そうするとここで一生米が食えなくなるワケで。
お米大好きなあたしにとっては死活問題。
「あー…ごめんね、音寧々」
蓋のボタンに手を添えると横から兄さんの声。
「忘れてたっていうか、どうすればいいのか分からなくて」
取り合えず電源は落としたんだけど。
そう言って申し訳なさそうに眉を垂らした大和の髪型はやっぱりまだ少し慣れない。
「んーん、むしろありがとうだよ」
瑠璃の所に行く前に米をセットしたからずっと保温状態になっているよりマシだったよな、絶対。
「ほんじゃ、おーーぷんっ」
「……」
「……」
さっき見たとはいえ、ほんと腐海の森。
光って漂ったり毒を出す事は無いにしても、モコモコしたこの胞子擬き。
「…一緒に洗うよ、音寧々」
あたしの悲痛な顔を見た大和兄さんは苦笑しながらそう言ってくれたのだった。


