「泣いてたあたしが可愛いわけないし、どうして…」



小さい頃は凄く泣き虫だった。
ちょっとしたことで涙腺が崩壊。

泣くと顔が真っ赤になるし、そんなダサい所誰にも見られたくなかったし、知られたくもなかった。

家族には、尚更。




「確かに泣いてたお前は可愛いとは言えないけど」


「そこは嘘でも言ってくれ」




久々に泣いた今、心に響くダメージが結構でかいから。

また涙腺ゆるゆるに戻るから。




「それは一般論、な」


「ん?」


「俺にはすげー…どうしようもなく、尊いモンだと思えた」




お前は知らねーよ


と一瞬意識を遠くに向け、口角をほんの少しだけ上げた。




尊いって…なんか壮大な話じゃあるまいし、なんか怖いわー

なんて思ったけど憂依がなにやら満足そうだから口にはしないでおいた。