変わってない

つまり泣いていたあたしを知っている、ということで。



「え、まって、…え?
あたしの事…いつから知ってたの?」



ハンナはおそらく中学生くらいの話をしてたから、憂依もそれくらいだと勝手に思っていたのだけど。




「10年」


「…何やて?」


「10年。な、我慢したろ」




どやぁ…っとこっちを見下ろしているその顔。



10年前って…あたし何歳だ。

まだ小学生…え、会ってたっけ?


さすがにこんな美形な子と会ってたら忘れないと思うんだけど。




「お前は知らねぇ」


「?」



思考を読んだのかのように憂依が言葉を発した。




「だってお前、人前で絶対泣かなかったろ」



どやぁ…ってもうその顔はいい、腹立つわ。

まだ頭の上にのっていた手をペッと払う。




「…何故それを憂依が知ってるの」


「俺がそこにいたから」


「嘘」


「なんで?」


「なんでって…
だって人が居たことなんてなかった」


「でも見た。から俺は奪った」


「…、」


「俺はお前を助ける事が出来なかった。し、今も確実に出来るとは思わない。
むしろ邪魔になるかもしれないけど、それでもお前を奪った」