「おい」


「んぁ?」


「間違えた、音寧々」


「別に言い直さなくていいけど」


「おい音寧々」


「や、それ合体しただけだろ」


「ねねねねーねーねーねっねねー」


「なんかレベルアップした…ってそうじゃなくて!
なんだよ、さっきから」




ねーねーねーねーうるさいわ。



「音寧々」


「だぁから!なに…」



振り向いた一瞬だけ。

片手で運転する憂依がもう片方の手であたしの頭を引き寄せたから、ほんの一瞬だけ。


泣く寸前の様な、はたまたもの凄い笑顔の様な…クシャッとした表情が見えた。




「あーやっと手に入れた気がする」




心なしかあたしの頭に触れる指先も震えているように感じて。




「…おぅ」



あたしはそのまま動かずにいることしかできなかった。