ケツに感じる地味な温もり。

Xなトレイルの助手席にあたしはまた座っている。


そう、座っているのだ。




「え、」


「あん?」


「あたし、もしかして解放された?」


「してねぇよ」


「や、君にじゃなくて瑠璃に」


「あぁ、所有権はあいつから俺になった」


「あたしはモノか」



え、まって軽くない?

だってあれだけガッチガチに送迎までされてたのに?
学校だけOKされた軟禁状態だったのに?


こんな軽く憂依に、はいどうぞしちゃったの?


ならわざわざ倉庫まで来てあたしを連れてった意味無くね?




「アイツはやべーよ」


「…?」


「瑠璃。
お前、制服のポッケ探ってみろ」


「ポッケ…ん、…んぅ?」



小さい銀色の四角いナニカ。

おぉう、これはもしや発信器だか盗聴器だかのブツでなかろうか。




「ま、いーけど。」


「いくない、全然いくない。
あたしのプライバシーないじゃん丸聞こえの丸わかりじゃん」


「聞かせてやればいい」


「何を!」


「この会話を」



……。

このくそくだらねぇ会話聞いたってアイツは悪態付くだけで何もメリットはない…って、そうか。




「そうだな、別に聞かれても困んないわ」




むしろ嫌になってアイツは自分から受信OFFにするわ、きっと。