「……」
ほらこの憂依でさえサキを見て真顔。
そりゃそうだ、自ら弱点言っちゃうバカはいない…
「辛いもの」
ってこの子もバカだったー!
何答えちゃってんのほんとバカ。
「え、マジで?
んじゃあ唐辛子持ってきたらお前倒せる?」
「かもしれない」
「うっはぁ良い事聞いたー!」
ンなワケないでしょうが…。
あぁ、バカが揃うと頭が痛い…。
頭に手を当てると目の前の真っ黒な人も同じポーズをとっていた。
「……」
「……」
気 ま ず い
瑠璃もそう思ったのかチッと舌打ちをしてフイっと視線を逸らす。
「早くてめぇは入れ」
視線の示す先はいつものリビング。
「…うん」
きっと、もう一回此処に入ってしまったら二度とアイツ等には…アイツ等の所には戻れない。
ローファーを脱いで一歩フローリングへと足を付ければヒヤリと底冷えするような冷たさが伝う。
あたしの前を歩く兄の姿を追うべく、もう片方の足もフローリングへ…とつけようとした時。
「瑠璃」
何の感情も見えない声が呼び止めた。


