今まで乗ったbBやBMWでもない、また違う車の中、ぶつけた額を擦る。
ハンドルのエンブレムが円の真ん中に横棒が入ってるから国産車ではあるとは思うけど。
今わかるのはとりあえずセダンとミニバンではないってことかな。
ハンドルを握るのは勿論憂依で…
ん、憂依?
「あれれ、ちょっと待とうか憂依さん」
「…何ですか音寧々さん」
「君、確か18歳なんじゃないのかね」
「……あ。」
「あ。じゃねーよ。
なんで車運転してんだよ」
「俺今19歳」
「はぁぁぁあ?」
「自己紹介ン時は灰と同じ18だったけど、早生まれだから学年はイッコ上」
……あんだって?
だって確かにあの時灰が…
『憂依も俺等と同い年や』
…なんてグレーな言い方だったんだろう。
「…嘘」
「は?」
「だから嘘」
「なにが?歳が?今の話が?」
だんだんとイラついてきたあたしのアゴはしゃくれそうだ。
それが見えてるのか見えてないのか、憂依は変わらず右手でハンドルを操りながら話す。
「歳。
灰達に頼んで同い年、ってことにしてもらった。
俺だけすげー歳くってるみてぇでヤだったから」
「……」
そんな1歳や2歳かわんねぇよ。
ジト目で見てれば大きい左手があたしの頭に降ってくる。
「悪かったな…オジサンで」
怒りポイントそこじゃねーよ!
と叫びたかったけど触れてくる手が気持ち良かったから無言で左手とジャレておいた。


