ハッキリ聞こえた瞬間、地べたに着けていたケツを急いで離した。
数瞬遅れてケイ、そして皆も立ち上がる。
これは憂依達を出迎える為じゃない。
音が違うんだ。
耳が痛いくらいの音。
憂依達はこんな雑な音じゃない。
ケイが言う。
「姐さん早く部屋戻って!!」
さっきとは反対に低く鋭く。
目は音源から一寸たりとも離さないままで。
「わかった」
嫌な予感がする。
階段を駆け上がり、ドアノブに手をかけたその時―――
「よぉ」
体が、息が、止まる。
「行動するのがちょーっと遅かったみてぇだな?
…音寧々」
ドアノブから、手が滑り落ちた。
ずるりと。


