「まぁ、好き…かな」
「…そうか」
緩んだ顔が暗がりにうっすら見えた。
ここにも連れてきてくれたし、本当に優しい。
暫く空を見ていて不意に思い出す。
「そういやお前どこ行ってたの、最初」
「あ?」
「だからぁ、いなくなったじゃん!
ホール入る前!」
「……………………あぁ」
たっぷり間をおいてそれだけ。
さてはコイツ忘れてやがったな。
「何してたんだよ?」
「………忘れた」
…ですよね、そうですよね。
そうだと思ってたよコノヤロー!!!
「はぁ…」
なんか一気に脱力。
今日の疲れもあって更に脱力。
「戻るか」
「ん」
腕を引かれてそう答える。
皆とじゃないけど、見れて良かった。
名残惜しくゆっくり歩いて扉へと向かう。
ガチャン…―
素朴な音が、今日1日の終わりを告げた。


