目を瞑ってさぁ寝ようと息を吐いた時、ガチャ、音がした。
「オジョーサン、起きたぁ?」
邪魔がきやがった。
「起きてない、寝てる、まだ来ないで」
「うっそだぁ〜。
ホラ、目ぇ開けてぇ〜」
「……」
「シカトすんなよぉ〜」
ヘラヘラした声がツンツン頭を指すから仕方なく目を開ける。
「ヤッホ〜気分はどぉ?」
「最高です」
「…おっもしれぇオジョーサンだなぁ〜」
傷んだ茶髪に不釣り合いなスーツ。
ヘラヘラした印象とは裏腹に、目の奥は冷たさが宿っている。
この男…
きっと、いや、絶対。
あたしの背後に立ち、一瞬の間に手刀、そしてここに運んだのは。
目の前のコイツだ。


