ずるいなぁ。
余裕ぶっこいてまた煙草吸ってるし。
あんな風に言われたら、行かないなんて選択肢は出てこない。
それに今日あと残ってるのはLHRだけ。
大丈夫だと判断したあたしは、教室の中に入り、鞄を手に取った。
「紀憂さん、お帰りになるの?」
「あぁ、悪ぃな。
モリ先にごめーんね、って言っといてくれる?」
うちらの担任の筋肉モリモリ先生、通称モリ先。
あ、モリちゃんでもよし。
「分かりましたわ。
気をつけて」
「ありがとうっ。
皆も気をつけてな!」
そう言い残し、彼のいる場所まで走って行った。
「っっキャー!
紀憂さん、気をつけて、だって!」
「私も言われた〜い!」
――こんな叫びを背に。


