いとしのポテトボーイ

「あれ? 雪沢じゃねえか?」
 
他校の男子生徒が雪沢クンの背後から肩に手をかけて、無理やり振り向かせた。

見るからに悪そうな、そう、あの制服は、ウチの学校から坂を挟んで丁度反対側にある、お行儀の悪い工業高校の生徒。

「大変だなオメーも。仲間ヤられてよ」

雪沢クンは彼をずっと無視していた。

スポーツマンとして、問題になるような行動はとりたくないからだ。

「だけど安土もバカだよなあ。等々力サンとタイマン張ろうなんて」

「タイマン?」

「今度やんだろ?」

「本当かそれ?」

その子を振り返る雪沢クンの目つき。

怖い。

まるで、不良が不良を見る目つき。

「いつだよ?」

雪沢クンはその子のシャツをギュッと掴んだ。