いとしのポテトボーイ

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終業式の日。

12時から始まる部活に備えて、わたしはサッカー部の友世と一緒に、坂の下のパン屋サンへパンを買いに行った。

その店はほかの部の子たちもひいきにしていて、明日から夏休み、という、何となく開放的な気分の日には特に混み合った。

わたしも普段はお弁当を持って来るンだけど、今日は友世と約束してパンにした。
 
わたしたちが入ってすぐあとに、雪沢クンと鷲尾クンが入って来た。

彼らはこの店の常連らしく、カツサンドや焼きそばパン、激辛カレーパンなど、聞くだけでおなかがいっぱいになりそうなパンを、何の迷いもなくトレーに乗っけて、あっという間にレジに並んだ。

わたしと友世は食べたいパンがなかなか決まらず、まだトレーの上はからっぽのまま。

「そんなことしてたら部活終わっちまうぞ」

鷲尾クンがわたしたちに言った。

「だってみんなおいしそうなんだもん」

「カツサンドにしろよ」

鷲尾クンが忠告してくれた。

この店のカツサンドはカツがとても大きくて、男の子には大人気のパン。

だけどこのカツサンドを買う女の子をわたしは見たことがない。

食べてみたいのはヤマヤマだけど、やはりこの大きなカツサンドを買うには勇気がいる。