いとしのポテトボーイ

「怖かったんでしょ? 等々力センパイも」

「等々力サンには本当によく殴られた」

「練習中に?」

「今日みたいなことがあったら、50発は殴られてたよ」

「50発ゥ?」

「どれだけの力でどれくらい殴ったら、どれだけのダメージがあるのか、等々力サンはそんなことちゃんと計算できる人だったのに」

「え?」

「考えて人を殴る人だったのに」

「考えたって、計算できたって、やっぱり暴力は良くない」

わたしはそう言うと、なぜか涙が出て来た。

「あ、お、俺、何か悪いこと言ったか?」

雪沢クンはわたしの涙に焦ったみたいで、その慌てぶりがちょっぴり可愛かった。