いとしのポテトボーイ

わたしがシャワーを浴びて、制服に着替えてグランドに出てみると、雪沢クンはまだ走っていた。
主将がそれをじっと見守っていた。

「よし。それくらいで勘弁してやる」
 
雪沢クンが主将の前に差しかかったところで「上がり」の許可が出た。
2時間丸々走っていたことになる。
 
雪沢クンは苦しそうに体全体で呼吸をしていた。
本当に苦しそうだった。

「頼りにしてンだからよ。頼むよ雪沢」
 
主将が雪沢クンの頭をポンと叩いた。

「スミマセンでした」

そんな雪沢クンに、主将はタオルを放り投げた。

「今夜はゆっくり休めよ」

優しい主将。

わたしはホッとした。

「ありがとうございました!」

主将が部室へ入って行ったので、

「雪沢クーン。一緒に帰ろ。待ってるから」

わたしは雪沢クンに手を振った。