「どうしてだよ南星? 港人のこと、何か知ってたんだろ? 何か隠してたことぐらい、朝から気付いてたよッ」

愛子チャンが感情的に安土クンを責めた。

「等々力サンに会ったんだろ? そーなんだろ拓也ッ」

今度は雪沢クンの両腕をガシッと掴んで、そのまま愛子チャンは泣き出してしまった。

「教室に戻りなさい。詳しいことが分かったら連絡しますから」
 
無責任な教頭先生の発言。

友達が死んだと聞かされて、教室でじっとしていられるはずがない。

わたしたちは先生が止めるのを無視して、奈良岡クンが安置されている警察署へ向かった。

霊安室の奈良岡クン。

顔には包帯が巻いてあった。

愛子チャンが奈良岡クンの遺体に覆いかぶさって泣いた。

奈良岡クンの傷ついた顔や体。

愛子チャンは何度も何度も奈良岡クンの名前を絶叫した。