「何かあったのか?」

雪沢クンがわたしに聞いた。

「別に」

「どこ行ってたんだよ?」

「別に」

「1時間も行方不明になっといて、別にはねえだろ?」

「それより雪沢クン。今度の日曜日、映画に行こうよ」

「はあ?」

「都合悪い?」

「何だよ急に」

「都合悪いの?」

「ああ、ちょっと」

「ちょっと何?」

「ヤボ用だよ」

「わたしとのデートより大切なヤボ用?」

わたしは意地悪な質問をしてしまった。

雪沢クンの答えは返って来ない。

「同窓会?」

また余計なことを言ってしまうわたし。

ほとほと口が軽い。

「宮下クンたちと会うの? そうなのね?」

「なんでオマエが」

「宮下クンが教えてくれたの。わたし、何もかも聞いちゃったから」

「・・・・・・」

「行かないで。殺されちゃうよ」

「なんで殺されなきゃならねんだよ」

「だって・・・」