「なんでオマエも安土について行ったんだよ」
 
雪沢クンにしてみれば当然の疑問。

こんな夜に、こんな暗い所で、何が起こるかは想像できそうなもの。

「真希チャンのこと思うと・・・」

それだけ言うと、わたしはまた涙がポロポロと溢れた。
 
雪沢クンは堤防にしゃがみ込んでタバコをくわえた。

「またそんなもの持ってるの?」

と言おうとしたけれど、黙って見逃してしまうわたし。

わたしも雪沢クンのすぐ横に腰を下ろした。

「わたしのこと、怒ってる?」

雪沢クンは黙ってタバコに火をつけた。

「軽蔑してる?」

「どうして?」

「だって・・・」

またわたしが涙ぐみ始めると、

「安土とキスしたからか?」

と雪沢クンが核心をついて来た。