いとしのポテトボーイ

わたしはソファに荷物を置いた。

雪沢クンのことを信用していないわけじゃないけれど、ベッドに近づくのが怖い。

「夕飯、何時だっけ?」
 
わたしはその時間が早く来ればいいと思った。

「俺、ちょっとシャワー浴びるわ」

「あ、ど、どうぞ」
 
雪沢クンはバスルームへ入って行った。

わたしは心臓がドキドキして来た。

何を想像しているのかと言われたら、今のわたしはスゴいことを答えてしまいそう。
 
夕飯はペンションの食堂。
オーナー夫妻の心のこもった手料理だ。

落ち着いて食べたらとてもおいしい料理だと思うけど、今のわたしは何を食べても味が分からない。

楽しみにしていた今回の旅行。

まさかこんな思いで夜を迎えようとは誰が想像しただろう。

「ごはん食べたら花火しようよ」

真希チャンが言った。

「うん、するする」

わたしは即答した。

少しでも部屋に入る時間を遅らせたい。