6、伝説の人


わたしと雪沢クンが歩いていると、すぐ横にヘンテコな車が止まった。
やたら車高が低くて、窓ガラスも真っ黒で、中からは大きなボリュームの音楽が漏れている。

窓が開くと、音楽が騒音となってわたしの耳をつんざいた。

そして運転席から、等々力センパイがこちらを見ていた。

わたしは背筋が凍りつくような恐怖感を覚えた。

「等々力サン・・・」

雪沢クンが足を止めると、等々力センパイは「乗れ」と指示した。
雪沢クンは車に乗った。

「雪沢クンッ」
 
わたしも雪沢クンを追ってしまった。

「なんでオマエがッ」

雪沢クンはわたしを車外へ押し出そうとしたけれど、等々力センパイはそのまま車を発進させた。