「夏生はかわいくないけど、直ちゃんはかわいーにょろ!」
「うわ、え、」


恋宵にぎゅうとしがみつかれて、直姫は顔を引きつらせた。
困ったように声をあげて、視線で助けを求める。

だが、その相手が悪かった。
夏生と似ている、という恋宵の一言で直姫の顔を覗き込みにきていた、聖だったのだ。


「ちょ、恋宵ちゃん!? いくらかわいくても男だからねそいつ!」
「だって紅ちゃんは抱きつかせてくれないにょろ」
「いいから離れて離れて! お前もなにされるがままになってんだよ!」
「いや、あの、ちょっと」


直姫がいくら小柄とはいっても、恋宵と並べばさすがに少し差がある。
十センチほども背の低い恋宵にしがみつかれて、聖に肩を引かれて、もみくちゃになってしまっていた。