悠綺高校の生徒会執行部。

校内どころか世間の人気者、日本を代表するセレブ、天が間違えて二物どころか四物も五物も与えてしまったような面々ばかりが集まった集団だ。
彼らに憧れを持つ生徒であれば、少しでもこの輪に近付きたいと思うのは当然のこと。
そうすると、生徒会に入ることが一番手っ取り早い方法となる。

憧れの芸能人に近付くために無理をして受験する中学生もいるような学校だ。
生徒会選挙に立候補者が殺到しすぎて収集がつかなくなってしまう結果が目に浮かぶようだったため、生徒会役員の選出は特殊なものでなければいけなかった。

そこで考え出されたのが、特待制度だ。
一般入試とは別の特待入試を設け、そこで選ばれた生徒は生徒会に入ることを条件として、様々な特別待遇を受ける。
それと他薦方式の選挙を組み合わせて、栄誉ある生徒会役員の座を決めることになったのだ。

当然、そのシステムが原因でトラブルを産むようなことになっては意味がないため、特待生の選出は念入りに行われたはずだ。
一般入試より数段難しい試験と幾度にも渡る面談、恐らくは素行調査までもを潜り抜け、悠綺高校の生徒として恥ずかしくない教養や生活態度、立ち居振舞いを兼ね備えた、たった二人の生徒が選ばれたのだった。

ただ勉強ができて社交的なだけでは、悠綺高校の生徒会役員は務まらない。