プシュー…



電車が駅に着き、扉が開いた。


あーあ…


降りなきゃ…




「あの、本当にありがとうございましたっ。あの、すごく、助かりました!ありがとうございました!」





ちゃんと喋れてたのか、

相手はどんな顔してたのかなんて
何一つ覚えていない。




ただ一つ。

あの人の手が…

吊革を掴んでいる手が、

ものすごくきれいで…


思わず触れたくなったんだ。