上半身裸のまま
じりじりと私に詰め寄ってきたため
私は少しずつ後ずさりをした。
目のやり場に困る。
シャンデリアの明かりに
照らされた王子の身体が
嫌でも視界に入ってしまう。
次第に明かりも隠れるほどに
王子が私に近づいたと思うと
ふわりと抱きしめられた。
自分の頬が直に
王子の肌に触れてしまう。
「好きなんだけど」
たった一言、耳元で囁かれた。
しばらく沈黙が続き
王子の身体が私から離れた。
「親の決めた結婚だとしても
俺は俺で、エリが好きだよ」
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