差し出されたドレスを母から受け取り
再び自分の部屋へ戻り
そのドレスを試着してみた。


ぴったりと私のサイズに合ったドレスは
情熱的な赤がとても目立っていた。




不思議とこの環境に
違和感は無かった。



ただこれから何が起きるのか
誰に何を言われたのか
まったく記憶などなく

不安だけが募っていた。



手元にあったダイヤのネックレスを
首に付けてみると

鏡に映る自分が
自分でないように感じた。



「綺麗だよ、エリ」


ふわっと後ろから抱きしめられ
誰かと思えば

鏡越しに映ったのはユウシと名乗った

王子様の先輩だった。