あれが見せたい物なら
どれだけ先輩は残酷な人だろう。







先輩と三宅琴乃の



キス





それが私の目にした光景。



視界が涙でぼやけてしまう。
拭っても拭っても
溢れ出てきてしょうがない。



そんな事実
知りたくなかった。

終わりがあるのなら
綺麗で素敵な先輩との思い出だけで
終わってほしかった。




歩きなれたこの道で
鳥の声も車の音も
なにも聞こえなかった。


走り疲れた私は
とぼとぼ道を歩いていた。


美味しいパン屋からの匂いに
毎日幸せを感じてたっけ、

公園で遊ぶ子供を見て
癒されていたっけ、



ただ頭に浮かぶのは
毎日毎日

藤岡先輩だけだったな、なんて。